警戒区域の畜産農家と研究者の軌跡
福島の震災から10年を迎えるにあたり、研究会のこれまでの活動の概要と成果を取りまとめました。
東日本大震災から13年が経ちました
正月に発生した能登半島地震は未だ復興の道筋すらつかず、現地の方々のお気持ちは察するにあまりあります。
このような現地の様子が毎日テレビ画面に出てくるなかで、今年も3月11日を迎えます。
東日本大震災から13年が経過しました。
東日本大震災からの復興の特別な問題は、原子力災害が複合していることです。
私たち、「一般社団法人 原発事故被災動物と環境研究会」は、福島第一原発事故後に、旧警戒区域内の牛の命を無駄に絶つことができない、と継続飼育していた畜産農家を支援したことが活動の始まりです。
牛たちは、既に畜産動物としての価値はなくなっていますが、農家の方々の要望もあって、牛たちの健康を維持しながら、研究者らが様々の観点から研究情報を取得してきました。マウスなどの実験動物と違って、牛の放射線影響はよくわかっていません。しかし、まだ除染が済んでいない場所で飼育されている牛たちの被ばく線量や健康状態を継続観察することは、世界的にも過去に例のない意義ある研究です。
牛の飼育を継続している農家の方々は畜産収入を全く得られませんし、研究者達も明確な結論が得られるか分からない研究のために公的研究資金の取得も難しい状況ですが、互いに協力して国際的にも希有な研究を続けています。
対象の牛たちは、自由でストレスが少ない状況で毎日元気に過ごしています。この牛たちの餌と医療を確保し、様々の研究情報を得られるように私たちは最後まで活動を続けるつもりです。
私たちの研究会活動は篤志家によるご寄付によって支えられています。被災農家と研究者が引き続き活動を続けられますよう、皆様のご支援をよろしくお願いいたします。(ご支援・ご寄付はこちら)
引き続き、多くの方々のご支援をお願いいたします。
なお、5月25日(土)午後に、岩手大学教育学部北桐ホールにおいてシンポジウム「被ばく牛を守り抜いた農家と見つめ続けた研究者たちの軌跡 ~映画「被ばく牛と生きる」岩手県初上映 & 被ばく牛から得られた研究成果~」を開催いたします。是非ご参加下さい。(シンポジウムのご案内はこちら)
社団法人 原発被災動物と環境研究会
代表理事 伊藤伸彦